北海道の先輩経営者からのメッセージ
「安心感とくつろぎが何よりのごちそう。」
岩渕 亨 氏
居酒屋1986年 開業
「特にかっこいい理由は何一つないよ。時代も良かったし、居酒屋なら、長くやれるんじゃないかなと思ったし、経験もあったから」と静かに語る。元々、ススキノで、6店舗を運営する外食企業に8年程勤めていた頃、自然の流れの中から、独立に至った。28年続けてこられた秘訣は、“頑固に、自分のリズムで、自分のスタイルのお店作りをする事で、周りの人の話や、時代や流行に流されない事かな?”と決して傲慢ではなく、飾らず、あくまでも自然体で、好きなお客様と共有できる時間を何よりも大切しているそうで、その人柄に惹かれ、28年間通い続けるお客様もいるそうだ。人気メニューに、創業当時から、変わらず続く“和風スペアリブ”があるが、何よりも、“安心感とくつろぎが何よりのごちそう”なのではないかと考えているそうだ。盆正月以外は、毎日お店を開け続け、敢えて目標は持たず、今まで通りに自然体で店に立ち続ける。
「ただいま!おかえりなさい!」という存在」
小室 千春 氏
定食屋1997年 開業
ルーツは、“大家族で育った事”いつも、大勢の中での食事が、身近にあり、自然の流れの中で、飲食店の開業に至った。初めは、円山地区で、姉と共に、お洒落で、美味しい珈琲を提供する、女性だけで運営する定食屋さんから始めた。当時は、カフェブームが訪れる少し前だったが、今までにない店作りから、周辺のクリエイティブビジネス関係の方々に支持されて、17年程の長きにわたり愛され続けた。区切りとして一旦閉店したが、ご縁からお声掛け頂いた案件があり、一年弱、様々活動をしつつ、リフレッシュ期間をおいた後、新たな自分のスペースを作る為と、自分の理想を感じさせるコンセプトに当てはまり、現店舗での開店を決意したそうだ。1世代下の若い世代が運営する宿泊施設の一階の立地条件で、行き交う人間達の台所として、「ただいま!おかえりなさい!」という存在・スペースになれれば嬉しい、と考え、いつかやってみたかった、“理想の下宿”に近い感覚で、今後、宿泊施設との交流が進む事を楽しみにしている。今後も、働いている人達が、家に帰る前に立ち寄って、ほっと安心して頂ける家庭のような場所として、有り続ける。
「沖縄県の魅力を発信!」
赤澤 正 氏
居酒屋、食堂2009年 開業
元々、沖縄県の特産物を販売する会社に13年程勤務し、北海道店の店長を任されていた。結婚を期に、一旦沖縄に戻る。この時期に、奥様が母の味を伝授してもらい、沖縄料理に磨きをかけた。2006年イーアス札幌のOPENを期に、FC店舗として、開業する。施設自体の集客力の問題と、FC店故の制約が多かった為、熟慮の末、完全に独立、「沖縄市場」として、リニューアルOPENした。契約期間満了と共に、施設内から離れ、築58年の古民家を改装し、“なんくる食堂”として再出発した。昼は食堂、夜は、居酒屋で、沖縄料理以外にも、多くのメニューを取り揃えている。中でも一番人気は、「ゴーヤチャンプル定食」で、それ以外にも、沖縄から、直送される、沖縄素材を活用した料理が看板のお店だ。町内会の方々をはじめとする、地域の方々のご支援のもと、週末には、家族連れを中心に、賑わいをみせている。今後は、更に、町内の方々と共につくるイベントを積極的に行い、今まで、お世話になってきた地域へのご恩返しをしていく事と、北海道に2人しかいない、那覇市観光大使として、沖縄県の魅力を発信し続ける。
「料理が美味しいのはもちろん、親切丁寧な接客が大事!」
森田 秀志 氏
イタリアンレストラン2000年 開業
イタリア・トレンティーノ・アルトアディジェを中心に、北の州で修行を積み、日本に戻ってからは、東京の有名店などで10年程活躍した後、子供を北海道で育てたいとの思いから、移住。2002年に、「トレンティーノ」を開業した。中心部ではない郊外立地、地域の人に愛されるお店作りがコンセプトだ。開業当時、郊外店では、珍しい手打ちパスタを提供するお店として、話題となる。その麺のクオリティーは、製麺会社が、教えを乞いに来たというエピソードがある程だったそうだ。お店を10年以上続ける事ができた秘訣を、“料理が美味しいのはもちろんとして、親切丁寧な親しみ深い接客”を重視してきた結果と語る。経営で大事にしている事は、先を行き過ぎず、タイミングを見て、飽きさせず、常に変化・進化させた料理を提供していく事と、コストに対するシビアな管理をあげる。5日毎に、フードコストの見直しを行い、お客様の満足を頂きながら、コストを抑える創意工夫に余念がない。今後は、小さなお店だからこそできる、より丁寧な料理と、明るい人柄で、地域の方々に愛され続ける活動を行っていく。
「真面目に見せずに、大真面目」
宇津木 幸二 氏
イタリアンレストラン2013年 開店
元々、沖縄県宮古島にある飲食店で、長く働いていた。そのお店の尊敬するオーナーから、飲食店のノウハウと、接客サービスの構えを学んだ。ある時、そのお店で、以降ビジネスパートナーとなる人物と出逢い、東京杉並区の飲食店で勤め始める。結婚し、子供が出来たタイミングで、子育てするなら、妻の出身地、北海道で育てたいと考え、平成25年に移住し、お店を開いた。内装のほとんどを自分達で、手づくりし、宮古島時代から扱う自然派ワインと、北海道産素材、有機食材を中心に、日替わりで、身体に優しい、シンプルなイタリア料理を提供する温かみのあるお店だ。仕事のスタンスで大事にしているのは、宮古島で教わった考え方、“真面目に見せずに、大真面目であれ!”だそうで、お客様に本当の意味でリラックスして頂くために、肩の力が抜けているように見せながら、見えない所で、やるべき事はしっかりと行うという高いレベルの仕事を目指している。今後は、安心安全な食材の普及拡大など、日本の現在の食文化を変えるような活動も積極的に行いつつ、若い世代に、飲食業の素晴らしさを伝えていく。