北海道の先輩経営者からのメッセージ
毎日が苦労だが、苦労が仕事と認識して向かい合い決して逃げないこと
西川 誠一 氏
レストラン昭和34年開業
元々両親が郊外で、牛乳・パン・ラーメン・そば・洋食を提供し、修学旅行生や、近隣の住人の方々に愛される食堂を経営していた。高校時代からお店に立ち、大学卒業と同時に修業に入った。その後、中心部に移転。時代の流れもあり本格的な洋食店として、新たな地域でも多くのお客様の支持を得たそうだ。愛され続けるお店のコンセプトは“地域の方々が飽きずに毎日食べられる美味しい洋食のお店”だ。人気メニューは創業当時からの “ハンバーグステーキ、ポークチャップ、カレーライス、スパゲッティー、オムライス”などで、55年以上にわたり変わらぬ味を守り続けているそうだ。経営で大事にしていることは“時代時代のお客様ニーズに叶う商品の探求とそれに見合う価格設定を考え実行すること”で、“毎日が苦労だが、苦労が仕事と認識して向かい合い決して逃げないこと”が重要と話す。これから開業する方には、「食は人の基本だが、生き残るのは余程の覚悟を決めた人だけ、経営戦略をたて、人材を育成しより良い食の世の中に功献して欲しい。」とエールを贈る。今は時代の変わり目と思い新しい感覚を取り入れながら、チェーン店や時代にのまれず、先を読みながら老舗の経営を続けていく。
「好きだから」こその想い。
多田 一成 氏
焼肉昭和59年開業
高校卒業後、東京にある韓国料理の専門学校に進み、そのまま修行に入りし経験を積み重ねた。札幌市で23歳の時に故郷である日高の食肉協同組合の直営店を開店することになり、責任者として開店させた。3年後さらに自分のスタイルのお店を追求するために26歳で独立を決意する。目指したのは、当時札幌にもなかった焼肉プラス本格的な韓国料理の両方を楽しめるお店づくりだ。若かったこともあり、資金調達には苦戦した。また、“O157の流行”“BSE問題”“精肉の生食問題”と度重なる難題をたゆまぬ料理への研究開発を行い数々のヒット商品を作りだすことでマイナスをプラスに変え乗り越えてきたそうだ。継続の秘訣は?の問いに「好きだから!」と語り、好きだからこそお客様の苦情を積極的聞き込み、その意見に真摯に向い合い都度改善に結びつけてきたとのこと。経営理念は「時代を読み時代の価値観にあわせついていくこと。」だそうだ。今後は、舌のみならず体が喜ぶ料理の研究を続ける。後輩経営者には「一攫千金を目的に安易に入る業界ではない。信念理念を貫き通す覚悟をもってのぞんで欲しい。」と正直なエールを贈る。
妥協せず当たり前のことを徹底する!
永富 賢司 氏
居酒屋、海鮮平成27年開業
元々40歳までには起業したいと目標を立て、焼鳥業態で5年間修業した後、店長として3年程勤めた居酒屋店での独立開業を決意しオーナーに提案したところ快諾をいただき平成27年2月譲渡を受け、屋号を「山おやじ」に変更して船出した。開業当初で苦労したことは資金調達だったそうだ。右も左もわからない状態で、色々な方のアドバイスを受けながら融資獲得に成功。目指したのは大衆居酒屋だが、各漁港から直送される新鮮な海産品、特に牡蠣をメインに据えながら、創作性を高めたお店づくりだった。継続してこられた秘訣は“妥協しないこと”と語り、良いものはすぐに取り入れ、ダメなものは絶対に提供しないという“当たり前のこと”を徹底してきたことだそうだ。経営者として一番大事にしているのは、「自分が守る!」という強い意志を持つことで、その志をスタッフにDNAとして引き継いでもらいたいと努力を続けている。これから飲食店を始める方には「飲食店は場所選びが何より大事!」と立地選定の重要性をエールとして贈る。今後は、地元石狩に店舗展開することも視野に入れた取り組みを行う予定だ。
お金では買えない人材!が一番重要
小澤 慎介 氏
居酒屋平成21年開業
外食企業の専務取締役として店舗管理や、料理も任され長きにわたり重責を担っていたある日、尊敬する社長から“さらなる向上心を持ってもらいたい”と独立するように促されたことがきっかけとなり開業を決意した。店名は大正時代に帯広の開拓者として名を馳せた“依田勉三”にちなみ“十勝から開拓していこう!”という意味も含め前職の社長が命名してくれたとのこと。酒蔵回りなど全国視察をしてきた経験が生かされ、他社の良い所に学ぶ姿勢から店舗のコンセプトを作っていったそうだ。開業してしばらくはご祝儀売上が続いたが、その後数年は思うように振るわなかった。そこで、原点に立ち返りコツコツと然るべき打ち手を着実に打って行ったことで成績が好転し軌道に乗ったそうだ。継続してこられた秘訣は?の問いに「地元の人達に支えられた」と語り、商工会青年部の仲間たちが積極的に連携してくれたり、多くのお客様が応援してくれたおかげとあくあまでも謙虚だ。経営で大事にしていることは“お金では買えない人材!が一番重要”と考えている。これから始められる方に対しては“料理など飲食店が好きでなければとても厳しい業種”という構えを持って臨んで欲しいとエールを贈る。今後は自ら生産者になることも視野にお店を守っていく。
この店に来たら何か一つでも良いことがある・・・
奥原 廣文 氏
居酒屋、焼とり平成19年開業
高校卒業後、色々な職種を経験するもお客様と対話する機会がなく物足りなさを感じていたことと、自分で事業を起こしたいとの思いからとある求人誌で“独立希望者募集”と書かれた焼鳥店に就職し、24歳頃から8年間修業を積んだ。運営面・管理面に自信がつき且つ、過去最高売り上げを記録したことである意味での恩返しが出来たと思えるタイミングで当初から希望していた独立を果たした。開業当初は、業者さんを好条件で紹介してもらう等の支援をいただき、尊敬できる師やスタッフの集客努力、勤めていた時の常連さんに支えられながら、順調にスタートを切る事ができたそうだ。常連さんが言ってくれた苦言も真摯に受け止め作り上げたお店のコンセプトは、“他の人から可愛がられる人間力を重視した料理だけ接客だけのどちらかに偏らず程良いバランスを意識した店作り”だ。もちろん自信をもって料理を提供しているが、この店に来たら“何か一つでも良いことがある”と思って喜んでいただけるお店を目指している。継続してこられた秘訣は、お客様へのお礼のメールなど感謝の気持ちを伝え続けてきたことだそうだ。今後は、人を育てスタッフの独立を支援する企業に育てていく。