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飲食店先輩経営者からのメッセージ

すでに飲食店経営者として活躍されている先輩経営者から後輩経営者に向けてのメッセージです。
これから共に飲食業界を引っ張っていく後輩経営者へたくさんのメッセージが寄せられています。

広島の先輩経営者からのメッセージ

洋菓子サンマルク

お客さまへの感謝の気持ちを忘れずに。店格・品格・価格、「格」が付くことを大切に。

川手秀義 氏

洋菓子
1981年8月操業

四季折々の変化に富み、豊かな自然に包まれた世羅台地に創業して40年。もともとは父親がはじめたパン屋だったが、自分が後を継いだときに時代の波に乗り洋菓子店としてリニューアルオープンした。

子どもの頃、親に連れられ街で食べた、生クリームの味、フルーツがのった鮮やかなケーキのことは、鮮明に覚えており、その頃から洋菓子店へ憧れがあった。
地元の高校を卒業後に東京へ。昼間は洋菓子店で働き、夜は、その当時、珍しかった製菓学校に通いながら4年半の修行をした。広島市内の洋菓子店に勤めた後、実家に戻り若干24歳で洋菓子店として創業した。

開業したときは、経営に関することは何も分からず、どんぶり勘定だったが、徐々にお店を軌道に乗せ、オーブンや冷蔵庫など必要な機材も導入していった。
当時は生クリームが珍しく多くのケーキは、日持ちするバタクリームだった。
田舎の人は、生クリームのことをよく知らず、買ったケーキをそのまま仏壇に供えることもあり、生クリームの味がおかしいと言うお客さんもいたそうだ。

地元、世羅の食材を中心に季節感溢れる洋菓子作りを心がけた。和洋折衷を融合させた「焼き大福」はクリーム、もちのようにモチモチとふわふわの新感覚スイーツだ。お土産で人気のレーズンサンドには大粒なピオーネを、レモンピールサンドには瀬戸田のレモンピールをふんだんに使い、道の駅などのお客さまにも好評だ。地元の高校とコラボレーションして生まれた、せら茶とバターケーキ「せらケーキ」は、平成3年中国五県商工会村おこし物産展にて奨励賞を受賞した。さらに平成6年中国五県商工会村おこし物産展では「世羅なしコンポート」、平成8年中国五県商工会村おこし物産展では「せらの太陽花サブレ」が最も優れた樹を受賞している。

繁盛継続の秘訣は「継続は力なり」。そして、安心・安全や美味しさを常にお客さまに伝えること、お客さまを決して裏切ることなく、やってきたこと、できたことに感謝することだと言い切る。

さらに常に大切にしている言葉に「初心忘るべからず」がある。壁にぶつかったり、道に迷ったときは、初心、つまり自分が未熟だった頃のことを思い返すというのも一つの方法だ。おごり高ぶったり、油断したりする気持ちを戒め、謙虚な気持ちで道を選ぶことができると、これから開業される方にも熱いエールを贈る。

日本料理つるま

お客さまは、きっと帰ってくる。一度きりのご縁ではなく、10年経っても通っていただけるお店に。

鶴丸 昌裕 氏

和食
2012年3月

日本料理の板前になりたいという夢は漠然ではあったが、子どもの頃からずっと持っていた。実家は、佐賀にあり、お世辞にも裕福とは言えず、学生の頃はかなり荒れていた頃もあった。
高校生の頃、日本料理店の修行をするなら、「やはり京都で修行をしたい」と思い、アルバイト先の結婚式場の料理長の伝手を頼って京都の料亭を紹介してもらった。
祇園の割烹なども含め、約8年間、京都で修行を積んだ後、妻の実家がある広島でホテルの日本料理店へ、その後、広島で名店と言われる料亭の料理長にも抜擢され、そこでも約8年間、身を粉にして務め上げた。

独立は考えていなかったが、スタッフが育ち、お店が軌道に乗って行く度に達成感や満足感は少なくなっていた。これからの将来、次のステップを考えたとき「自分のお店を持つこと」が目標へと変わり、ちょうど40歳のときに開業した。

開業してすぐは不安な状態が続いたが、テレビ局へ「開業までのドキュメント企画」を持ち込み、取材で追いかけてもらったことが功を奏し、初年度から繁盛店となった。そして今では、ミシュランガイドのミシュランプレートにも選出される名店となっている。

料理は、季節ごと、その日の仕入れごとによっても異なるため、看板メニューは特にないが、釜土で炊くお米を楽しみに来店するお客さまは多い。もちろん、料理の基本となる出汁にもこだわり、かつおは東京の築地から、昆布は、大阪の問屋から最高のものを仕入れ、塩と醤油だけで味を調え、香り高く旨味溢れる出汁に仕上げている。

最高のものを仕入れる理由、常に心がけていることがある。それは「お客さまに喜んで帰っていただくこと、そして、本物を使うこと」だと言い切る。
できるだけ良い食材を使っていきたい、良いものを召し上がっていただきたい、それによって満足していただく、もちろん、料理だけでなく、接客サービスや店の雰囲気も含めて喜んでいただきたいと考えている。
そして、その努力をすることで、お客さまはきっと帰って来てくれると信じている。お店の利益も一度きりのご縁で上げるのでなく、何度か通っていただける中で少しずつ利益が出れば良いという経営者としての考えもある。

多店舗展開などには興味はないが、人が育ってきたら、彼らを主役にお店を任せたいと願っている。実際、会社として新店舗を出店し、お店を任せ、後々譲るというかたちで店舗経営も行っている。

これから開業される方へのメッセージは「とにかく働くこと」。それは最低条件、成功された方の多くは人の倍は働いている、常に努力をしている、経験を積むことで後々の困難に立ち向かえるようになると自らの経験からの熱いエールを贈る。

ビストロフレンチ コションドール

お店は人でなっている!お客様やスタッフに対しても常に誠実でなければならない

鹿瀬浩史 氏

ビストロフレンチ
2016年7月

実家は、山に囲まれ自然豊かな街にある喫茶店。両親は今もその喫茶店営んでいるが、自分が飲食店で働くことには反対だった。高校を卒業してしばらくサラリーマンとして勤めていたが、自分で何かをやりたいという願望が捨てきれず、子どもの頃からの夢であった飲食店をやろうと25歳のときに一念発起して調理師専門学校に入学した。卒業後、ホテルやイタリアン、フレンチ店で修行を積み、結婚を機にハウスウエディングの会社に就職し10年間勤めた。
その後、広島市内に「楽しい時間と空間を与えられる普段使いできるカジュアルフレンチ」ジビエを扱うビストロ店として開業した。
開業したときは、お皿をどこで買って良いかも分からないぐらい、何も分からない状態だったが、先輩や同業者の仲間に助けてもらいお店を軌道に乗せることができた。
自慢の料理は、ダイナミックで野性味溢れる肉料理。故郷で獲れるイノシシ肉などのジビエや山形斉藤の千日和牛など、お客さまが美味しいと喜ぶ顔を思いながら、一皿一皿、心を込めて丁寧に調理し、インパクトある料理を提供することを心がけている。
経営理念や店舗コンセプトにあるように、心地良い場所でお客さまに楽しい時間を過ごしていただけるよう、お客さまとの会話や接客も大切にしている。
今後は、ワンランクステップアップした肉料理店、自分が美味しいと思う全国の逸品、食材を取り入れ、県外からも来店していただけるようなビストロ出店を目標に掲げ邁進していく。
これから開業される方には、店舗運営をスタートさせると迷うことも多いので「しっかりとしたビジョンと計画性を持ったお店づくりをしていくこと、自分の信念をしっかりと持ち作り続けることが大切」と自らの経験からの熱いエールを贈る。

伝承しゃぶしゃぶ銀花櫻

銀花プレミアポークの魅力を伝えるお店

新谷 響 氏

しゃぶしゃぶ
2012年開業

スタート時は店舗ごと前任から引き継ぐ形で、ヒト・モノのある状態だった。新たに始めるお店の売りは愛知県知多半島にある、石川養豚場に飼育を依頼し誕生したオリジナル豚で店名の由来にもなっている「銀花プレミアポーク」を使用したしゃぶしゃぶ専門店だ。この銀花プレミアポークは四国・石鎚山のふもとで採掘された「マテラ鉱石」という健康・美容に良く血流改善・内臓機能の向上に効果があると言われる特殊な鉱石入りの飼料を食べて育った豚で独特の甘みがあると評判の豚肉だそうだ。新規開業時に真っ先に着手したのは、素晴らしいポテンシャルを持ったスタッフのモチベーションアップの教育と徹底した清潔感の演出だったそうだ。商品の付加価値を高め、徹底したサービス力向上の取り組みが功を奏して徐々に口コミによって認知度を上げてきた。経営で一番大事にしていることは「徳を積む」で、若いスタッフが社会で通用するのみならず他の同年代よりも抜きんでた能力を発揮できるような人材育成を最重要と考えている。今後は店内売り上げだけではなく、広く外部への販路を進めることも視野に入れているのだとか。これから始められる方には「決して利幅の大きい業種ではありませんが地域社会への貢献など自分のお店に使命感を持って経営出来れば是非参入して欲しい。」と熱いエールを贈る。

えびすの隠れ家 鉄板 ふく

自分のその先の可能性を見出すためにも一歩踏み出す

代表取締役 藤原 尚匡  氏

鉄板焼き
2017年開業

 志は多くのお客様に喜んでいただくこと。16歳から広島市内の人気イタリア料理店でアルバイトを始めた。それまでスポーツなども含めて何事においても中途半端で、勤め始めた当初もできないことが多く、よく先輩に注意され、精神的に落ち込んでいる時にお客様が励まし助けてくれた経験から志に目覚め、初めて自分の存在価値に気づき、自分自身を認めることが出来るようになりドンドン飲食店の魅力にハマっていったそうだ。以来12年間にわたりそのお店で研鑽を積んだ。元々30歳までには独立したいという希望があったことと、心から信頼できる料理人との出逢いもあり、今までお世話になったお店には本当に愛着があり後ろ髪を引かれる思いもあったが一歩踏み出し開業することを決意する。開業前に苦労したことは、物件の保証人探しで、身内ではない前職のお客様が未来ある後輩を応援したいという善意で署名をしてもらうことが出来てようやく契約に漕ぎつけた。また資金調達では身内の協力も得ながら何とか希望の融資を得ることが出来たそうだ。「ふく」という店名には一緒に始めた料理人との絆と、全ての来店してくださったお客様に幸福が訪れるようにとの思いが込められているそうだ。苦労して入居した物件は繁華街の雑居ビル4階という厳しい条件から売りとなる商品作りを徹底的に考えた末「高価な生オマールエビを格安で提供する」という魅力を全面的にアピールしてお客様を掴んでいったそうだ。また接客サービスでは感動していただけることを念頭にキメ細かくコミュニケーションをとる接客を心がけ、特に入店時と退店時の対応を最重要と捉え精一杯感謝の気持ちを表現している。経営者として大事にしていることは「トータルバランス」で料理・サービス・財務管理も含め経営全般のバランスを保つ “ええ加減”を意識しているそうだ。これからお店を始められる方には「多くの人は自分を能力限界の一歩手前に置きたがるが自分のその先の可能性を見出すためにも一歩踏み出すことを考えてみるべきではないか。」また「始めるならやり直しのきくように早いうちに思い立ったらすぐ行動したほうがよいのではないか。」と熱いエールを贈る。

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