岐阜の先輩経営者からのメッセージ
柳ケ瀬で60年“美味しくて懐かしい味”を提供し続けています
福井 雅一 氏
食堂1960年創業
創業者は祖父母です。元々は自転車の販売・修理と自転車預かりをしていましたが、徐々に車が普及し、自転車だけではこれから難しいという事で、店内にお好み焼きやおでんなどを提供するコーナーを併設したのがスタートです。その後、料理人だった父が1970年にお店を継ぎ、飲食店専業に。その2年後、近くに高島屋ができたのを機に、自宅をビルに建て替え、平成6年に私が三代目を継ぎました。
私は小さい頃から、甲子園を目指す野球少年でしたので、お店を継ぐことはあまり考えていなかったのですが、父が58歳の若さで他界したため、20代前半でお店を継ぐことを決意しました。(当時は大学に通いながら、高校の野球の監督をしていました)最初は、祖父母や父の時代の頃からの多くの常連さんをいかに満足させるか、引き続き来ていただくかが最重要課題でした。
料理は父から学びました。プロの料理ですが、原点に家庭の味がある。優しい味。なつかしい味。というのが大福屋の味の原点です。看板メニューは、岐阜の食材を使った。井ノ口丼、美濃姫丼など。
モットーは「奇をてらわない」こと。新しいトレンドやブームには一応アンテナを立てていますが、それを自分のお店にどう取り入れるかを考えます。「お客さんの笑顔が、お店にとっての喜び」この基本を徹底的に追及してきました。新しいチャレンジを成功に導く鍵は「技術より心構え」「基本をしっかりする」」という二点だと私は思います。繁盛店を形だけ真似てもなかなかうまくいかないものです。
地元食材にとことんこだわった、中華麺食堂
鈴木 清倉 氏
ラーメン2005年創業
子供の頃から料理づくりが好きでした。好きなことをやって、お金をいただける飲食業は素晴らしい仕事だと思い、中学の時にすでに「大人になったら飲食店をやろう」と決めていました。16歳から飲食店でアルバイトをはじめ、バイト代はすべて貯金。20歳の時に、そのお金を頭金にお店を始めました。一時は。
アルバイトも含め50名ほどのスタッフを抱える規模にまで店舗展開を拡大したのですが、組織のトップとなり、デスクワークばかりの日々に料理人としての違和感を覚え、もう一度原点に帰って、一店舗の料理人として、お客さんと向き合う事を決意しました。それまでのお店は無償譲渡という形で整理し、最初の出発点である「清太麺房」で再起を果たしました。今のお店は、地産地消を推奨し“地域の食材と人をつなげる”がコンセプトです。しかし、オープン当時は食べてほしい料理とお客様が食べたい料理とのずれがあり、迷いの連続でした。そんな中で見えてきたのは、自分の得意とする料理を押すのではなく、お客様の求める料理をさらに磨き上げ、自身の創作をプラスする事。そうする事で、ヒットメニュー看板メニューが生まれてきました。当店の看板メニューは、味噌も野菜も地元産の「最強の味噌ラーメン」と、“地域を包む”がコンセプトの「岐阜ご当地餃子」(シリーズ)です。さらに最近では、「本巣まるごと餃子」の開発にも取り組みました。これは当店の取り組みが、地産地消推進と評価され、地元本巣市からバックアップがあったプロジェクトです。当店の経営理念は「カタチある夢を創造する」ですから、まさにその一つの成果と言えます。「夢」を持つことは非常に大切ですが、それをふわふわしたままにせず、実現可能な形に落とし込んでいただければと思います。
「飛騨牛をリーズナブルに堪能できるお店」
高木 雄彦 氏
焼肉2008年2月設立
飲食店勤務を経て、2008年、飛騨牛メインの焼肉店をオープン。焼肉だけでなく、もつ鍋も売りとして、夏にも冬にも強いお店を狙いました。しかし、開業したその年にリーマンショックが起こり、非常に苦戦を強いられました。景気が悪くなればお客さんは冒険しません。新しいお店にはなかなか行かない。料理や接客に自信があっても来てくれなければはじまりません。1年目は本当に苦労しました。料理人と商売人の違いをつくづく実感。そこで、まだ体力のあるうちに、思い切ってコンサルタントに立て直しを依頼しました。魅力的なメニューづくりのコツや集客の定石を学んで、徐々に上向いてきました。お店が継続できている秘訣は、一日一日、決して手を抜かないで全力でやりきることだと思います。価格の「安さ」だけじゃなく「お値打ち感」「お得感」の演出を心掛けています。コストパフォーマンスではどこにも負けない、という自負があります。接客も個人店ならではの、温かみのあるおもてなしを目指しています。スタッフに教えているのは、接客技術だけじゃなく、なぜそうするのかという事。内面的なことを伝えています。”お客さんを笑顔にする”事がお店(スタッフ)の役割で、それにはどうすればいいかをみんなで考え実践しています。お店のモットーは「お客様を楽しませ、仕事を楽しむ」今のお店が手狭で、週末はお断りするお客様も少なくないので、より大きなお店への移転か2号店出店を検討中です。開業希望の方に、私の経験から言えることは、美味しい料理を提供する事と、店舗経営は別物だという事です。新規開業は、自分で道を切り開いていく事なので、決して楽ではないですが、夢を持ち続けて全力で取り組んでほしいと思います。