北海道 道央の先輩経営者からのメッセージ
「味・技術は超えられても、お客様の為に作る心は、味以上…」
伊藤 一夫 氏
焼肉平成23年 開業
約20年間にわたり、大手を含む焼肉店に勤めていた。セントラルキッチン化が進み、本当に提供したい料理を作る事が難しくなり、職人として、見失いがちになった自分自身を取り戻す為に、独立を決意する。自身ラストチャンスと言う50歳での再出発だ。本来の料理は、“自分が褒められる為に作るモノではなく、あくまでも、お客様の為に作るモノであるべき”との想いで、焼肉だけではない、海鮮や、季節の韓国料理を、心を込めて提供するお店作りだ。店名のグルマンズは、“心に通ずる道は胃に通る”の名言を残した敬愛する開高健氏の“くいしんぼう”という意味の言葉から引用したそうだ。「味・技術は超えられても、お客様の為に作る心は、味以上の価値があり、その心がお店の雰囲気になる。」と考え、温かなお店の雰囲気を作り上げた。開業当初1年位は、苦戦した時期もあるが、同業者の方々が、応援してくれて、紹介が紹介を呼び、軌道に乗る事が出来たそうだ。今後は、共に働き、想いを共有できる仲間と先々を考え過ぎずに、何のために仕事をしているのか?という心を見つめながら正直な商いを続けていく。
「信念を貫きつつ、どこまでも顧客主義」
小山内 裕次 氏
イタリアンレストラン平成16年 創業
母親の影響もあり、幼少の頃から、食べる事、作る事が大好きだった。小学校の卒業文集には、「日本一のコックさんになる!」と書いていたのだとか。専門学校卒業後、札幌のホテルなどで修業した後、本場の味を修得する為に、単身イタリアに渡り、帰国後、約3年をかけ、資金と物件などの準備を行い、平成16年、念願の「ristoranteSOLARE」をOPENした。店名には、“陽の当たる場所”という意味が込められている。料理は、主にシチリア島の魚介料理が多く、シンプルだけどまた食べたくなる味わいだそうだ。お店のコンセプトは、“NOと言わないお店”として、出来る限りの要望・期待に応えたいとの思いがあり、特に重視しているのは、お客様との会話の一つ一つ、細かな部分までを聞き込み、記録し、再来店の時に、ホスピタリティーと共に、提供する事を心掛けているそうだ。経営で大事にしている事は、“信念を貫きつつ、どこまでも顧客主義”で、通ってくれるお客様に対して最大限のサービスを提供している。今後は、南イタリア料理を中心に据え、新たな顔を表現しながら、お客様との信頼関係を作る努力を続けていく。
「来るたびワクワクしてもらえるような店作り」
上森 耕二 氏
カフェ平成26年 開業
元々、いつか生まれ育った町で、お店を開きたいと夢見ていた。大人になり、ザ・ウィンザーホテル洞爺をはじめとする、いくつかのホテルで、約30年にわたり腕を振るってきた。平成26年、長い修業で身に着けてきたデザートを、自分のお店で表現・アピールすべく、地元江別で、カフェスペースも完備した、お洒落なお店「パティスリーモルフォ」をOPENした。地元の方々の応援もあり、開業当初から、多くの客様が詰めかけてくれたそうだ。お店のコンセプトは、地産地消の考えの基、フランス菓子をベースにした、江別小麦や、江別小林牧場のノンホモ牛乳を使用して作る、“ラウンジで食べるような上品な、デザート”を提供するお店だ。経営で大事にしている事は、“常にお客様の立場になって考える”事で、地域の方に愛される「江別ケーキ」と呼ばれるために、日本の四季を意識した、季節によって変わるデザートを揃え、地元のお客様にも、来るたびにワクワクして頂いて、飽きさせない工夫を随所で表現しているとの事。今後は、カフェ単体での出店も視野に入れ、お仕え物としてのお菓子にも力を注ぎ、より地元に愛される店作りを行っていく。
「北海道産の素材を、イタリア料理でどこまで表現できるかという限界に挑む!」
塚本 孝 氏
イタリアンレストラン平成8年 開業
東京で10年程修業した後、スイスに渡り、海外の文化に触れ、食の豊かさと、時間の使い方の豊かさに感銘を受けたのと同時に、日本に欠けている部分を認識したそうだ。帰国後、色々な事のタイミングが合い、多くのポテンシャルを秘めた北海道での出店を決意し、1996年に「CapriCapri」をOPENした。フレンチ、地中海料理など様々な料理を学んできたが、当時最も脚光を浴びていた、イタリアン業態を選んでの出店だった。コンセプトは、北海道産食材を使ったイタリア料理の素晴らしさを伝え、根付かせられるようなお店を目指したそうだ。メニューには、鮮度が命、「朝採れ花ズッキーニのフリット」に代表される、自家栽培の野菜を、季節になると、朝収穫したモノを、その日に提供してくれるそうだ。経営面で大事にしているのは、「人」で、スタッフ、お客様をいかに大切にできるか、を重視している。長く運営する秘訣は?の問いに、飲食店経営を、ビジネスと捉えず、“伝える手段”と捉えている事と、“我慢”を挙げ、浮き沈みのある業種なので、根気強く、諦めずに、伝えたい事を伝え続ける事が大事と話す。また、常連のお客様と“人間同士の付き合い”ができる関係作りも、もう一つの大事な要素との事。今後は、道民のみならず、観光で来られた方に対しても、北海道産の素材を、イタリア料理でどこまで表現できるかという限界に挑み、日々努力を重ねた料理を味わって頂けるような運営を続ける。
「お客様の“心の財産”になっていただけたら幸いです。」
中山 亮介 氏
そば平成17年 開業
大学卒業後、編集プロダクションに就職し、“より多くの方々に伝える”事を志として、大手新聞などでコラムを執筆していた。主に、札幌と、札幌近郊の飲食店の取材が多く、見聞きするうちに、専門知識が蓄積されていったそうだ。その中で、北海道における、蕎麦文化の認知度の低さを憂慮すると同時に、郷土蕎麦・伝統が定着していない事に気づき、“蕎麦を伝える”為、また、“定着していない=競合が少ない(ビジネスチャンス)”と考え、自ら蕎麦作りを始める。資産は、蕎麦作りのノウハウ本や、DVDと、見聞きしてきた知識のみの船出だった。平成17年、地産地消を念頭に、より蕎麦の魅力を伝えられる可能性が高い、手打ちの十割蕎麦を主力商品として、昼は蕎麦屋、夜は蕎麦居酒屋というコンセプトで、ひたすらに“美味しい蕎麦”を追い求め、目の届く範囲、手の届く範囲で背伸びせずに、身の丈に合った地道な商いをしてきた10年と振り返る。 体力・技術・伝達能力に磨きをかけ、今後は、蕎麦文化を広めるために、あえて、より小さく、より密度の濃い、より深くお客様と接することのできるような店作りを進めつつ、食べていただいたお客様に感動を与えられるような蕎麦を追求していく。『当店で過ごしていただいた時間がお客様にとって、心の財産となっていただけたら幸いです』