北海道 道北の先輩経営者からのメッセージ
開業後4カ月、火事で全焼。それでも愛と勇気を大切に走り続けた19年
伊藤 和成 氏
パン平成9年開業
大学3年生で卒業単位を全て取得したため、4年生になってからは東京のパンの学校で働きながら1年間修行し、当時は珍しい飲物も用意したイートインスタイルのパン屋さんを23歳でオープン。
開業前は実績がないので銀行からお金が借りられず、どうしようかと思ったものの、何か所も金融機関をまわり続けたところ、一つの金融機関だけが話を聞いてくれたことによって、夢や野望、熱い思いも伝えることができ、貸してもらえることになったのだそうだ。
苦労してオープンしたものの、4カ月で火事になり全焼。やるしかない!と、一から道具を揃え直してやり直したことで今に至る。
お店のコンセプトは【明るく楽しく前向きに】。作る人も接客をする人も、自分が楽しくなければ良い仕事ができないと、自分自身にもスタッフさんにも伝え続けている。
春夏秋冬、商品を新しくするのはもちろん、毎週月曜日にも新商品を出すことを自分に課して、だらけることなく19年続けてきたそうだ。
経営者としては、チャレンジを恐れない勇気と愛を大切にしている。スタッフさんもお客様も商品も全てが愛だと語る。これから始める方には、人間対人間を大事に、人との繋がりを大切にしていけば必ず夢は叶うので、勇気をもってチャレンジし続けてほしいとエールを語る。
ママ目線で、子連れでゆっくり食事を楽しめるお店を実現
松倉友美 氏
カフェ平成28年開業
子育て真っ最中のオーナーが、子連れでゆっくり行けるお店が欲しい!という思いで作った、子連れの方が気軽に行けるお店。ママ達は、家族優先で自分の食事は適当でいいと手抜きになってしまう方が多いので、子どもを遊ばせながら、ゆっくり食事をしてもらい、「まごわやさしい」「まめ・ゴマ・わかめ(海藻)・野菜・しいたけ(きのこ)」の栄養バランスの取れた食事を自分のためにとってほしい。また、常盤公園が近いので、お散歩がてら利用していただいたり、お年寄りの方も多い地域なので、ヘルシーで栄養バランスの取れた食事を取れるようにしたい。というコンセプトで、メニューも考案したそうだ。
子連れで飲食店を利用する際は、個室・小上がり、授乳室、おむつ替え台、子どもが遊べるキッズスペースがあるとゆっくりできるので、ママ目線でその全てを充実させて、子連れママ向けのイベントをお店で開催するなど、人が人を呼んでいるそうだ。
今後の展開としては、今来てくれている1歳前後の子ども達と一緒に、お店のイベントも年齢層の幅を広げながら、一緒に成長したいと語る。
これから始められる方には、お客様とお店との繋がりというより、自分とお客様との繋がりを大事にできるような人間関係を作り、人と人との繋がりを大切にしてほしいとエールを贈る。
人との出会いや繋がりを大切に、自分が楽しくがモットー
間野 卓 氏
コーヒー平成22年開業
ご縁があって、サラリーマンを辞めて権利を買って引き継がせていただいたたくことになり6年。コーヒーは焙煎する人が変わると味も変わるため、既存のお客様を大切に、焙煎するスタッフさんは変えず、自分は営業面に力を入れていこうと、積極的にイベントに出店してきたそうだ。それによって人とのご縁がどんどん広がり、今に繋がっているそうだ。
イベントでは、自分のコーヒーを今まで飲んだことのない人に飲んでもらえて、その場で感想も聞ける。そして、イベントで違う飲食業の仲間が増えてコラボもできるようになり、今では一緒に出店するようにもなり、お互いにお客様も紹介しあったり、人との繋がりが全てだと感じるようになったそうだ。約20年前にサラリーマン時代の上司から、人との付き合い方を学び、それが今、経営者として生かされている。スタッフも人なので、大切にして感情的になりすぎないよう、注意をした後はフォローする。人に物を頼む時には、お願いする背景も伝え、納得してもらって仕事をしてもらえるよう心掛けていると語る。
これから始める方には、何かをやる前に人脈は作っておいたほうが良いので、人との出会いを大切にして、楽しくやること。人との出会いは百かゼロかのご縁だけれど、百の人たちが助けてくれるので、継続して付き合う。そして人が集まるところには、仕事に関わらず行った方が良い、とエールを贈る。
夢は叶えるものであり、追い続けるもの。その熱意で進化し続けた21年。
斉藤 辰矢 氏
カレー専門店平成7年開業
元々は体育の先生になりたかったというスポーツマンの斉藤さん。大きなケガにより諦めざるを得なくなったことで、昔から好きだった飲食店への道に繋がったそうだ。高校時代から一人暮らしをしながら毎日お弁当を手作りしたり、料理が大好きで特にカレーが好きだったことから、カレー博覧会に応募し、グランプリをいただいたことで確信を持ち、背中を押されて開店。マイナスからのスタートだったことで、やるしかないととにかく必死だったため、「ドアをこじ開けていくのは自分の魂しかない!」と、真冬の旭川でも、【気合い】と書かれたランニング一枚で自転車で出前をすることでとにかく目立たせ、出前メニューはポスティングではなく、一軒一軒会社に直接挨拶をしながら手渡しをする。こうすることで旭川が見えてきて、時代の流れをくみながら進化させてきたそうだ。「夢は叶えるもの。叶えるために何ができるのかを常に考えて、達成したら、次は何ができるのかと考える。そうやって夢は追い続けるもの。」その熱い思いは、スタッフさんにも伝わり、野球関連の夢をもっていたスタッフをプロ野球日本ハムファイターズの裏方スタッフとしてこれまで2名が入団したほど、「夢はつかむものだ!」という思いが生き様として溢れている。
変わらないために変わっていく。時代の流れは早いからこそ、時代に合わせて地域の人たちが集まる場所にするための工夫は欠かせない。
今では、日本全国からファイターズファンが集まり、注目をされているが、根本にあるヘルシーで安心して食べられるカレーであることは、今後も守り続けていきたいと語る。胃腸にも優しい、アスリートも安心して食べられるように、動物性脂肪を最小限にした低カロリーなヘルシーなカレーは、日本ハムファイターズの選手達が旭川に来るたびに来店される。夢は、死ぬ日を退職の日にすることだと、前を向き続ける。
飲食店は街作り、街を元気にできる和みの場に
海老子川 雄介 氏
カフェ2016年4月開業
旭川愛に溢れるオーナーの海老子川さんは、大正14年に建てられた現店舗が、前身の常盤商店の閉店により解体されると聞き、100年の歴史ある建物をなんとしても残して利用したい!とカフェを開業する流れとなったそうだ。 旭川のシンボルである旭橋の魅力を知ってもらい、観光資源として市民の心の拠り所としていきたいという思いから、旭橋をモチーフにした焼き型を使い、手作りのデニッシュで北海道産の食材を包んだ「ときわ焼き」が看板メニュー。【「和」がままなひとときを。】をキャッチコピーとして、美味しいおやつを提供することでお客様が明るい気持ちになってほしいという思いがつまっている。
街づくりの一環として、地元の老舗企業の食材を使いたいと、福居製餡所の餡と旧吉川園の抹茶を使ったコラボドリンクをメニュー化したことも、旭川を元気にしたい思いから生まれた発想だったそうだ。
開業時の苦労としては、サラリーマンとしての感覚と経営者1年生があびる環境の変化、考え方のスイッチについて、かなり勉強してきたそうだ。これから始める方には、飲食店は街づくりなので街を元気にする気持ちでやってほしいとエールを贈る。
旭川を奇跡の街だと心から愛しているからこそ、旭川の観光スポットとなり、街を元気にすることで、冬季オリンピックを旭川で開催するのが夢だと、熱く語る。