東京都 足立区の先輩経営者からのメッセージ
歴史と革新から生まれた人気店
オーナー阿部 匡寿 氏
食堂2014年3月開業
足立市場内にある「とくだ屋」は、昭和54年創業という長い歴史を持つ。
しかし、現オーナーの阿部氏がお店を引き継いだのは4年前のこと。
先代が高齢になったため、先代の知り合いの息子である阿部氏に声がかかったのだ。
当時阿部氏は足立市場内の魚の仲卸をしていたが、飲食業にも興味があったので、二足のわらじを履くことに決めた。
今でこそ口コミサイトで高得点が付く人気店だが、お店を引き継いだ当初はゼロから飲食店を立ち上げることとは違う苦労を重ねたという。
まず、お店を引き継いだ時に従業員も新たな人員にし、続いてメニューにも手を加えた。
元々は足立市場内で働く人をターゲットとした大衆食堂だったため、魚料理の他にカレーやカツ丼なども提供していたが、魚に特化することを決めたのだ。
魚に特化したメニューにすることで、ターゲットを足立市場内で働く人から、近隣住民や周辺企業の会社員などに変えた。
ターゲットが変われば営業時間も変わる。他店では市場の人向けに朝型の営業時間となっているが、とくだ屋は違う。近隣住民やランチタイムの会社員が来店しやすい時間に変えたのだ。
このような手探り状態の変化の連続に、1年目はとても苦戦したという。
新たなターゲット層に喜ばれるためにメニューにも日々改良を加え続け、そして経営は3年目にやっと安心できる状態になったという。その時には、改良を続けた海鮮丼の具材は13種類まで増えていた。
魚の入荷状況によって具材が異なるものの、必ず13種類は入れようとルールを決めたのだ。
こうした努力が実り、今では13種類の具材が乗った「特盛豪華海鮮丼1,600円」が一番の売れ筋だという。
「お客様目線で考える」と話すように、焼き魚定食に刺身を付けて提供するなど、“少しでも多く色々と食べたい人のニーズに応えられるように”と、セットメニューを多くする工夫を凝らしている。
そんな阿部氏に経営理念を伺ったところ、「お客様も大事だが、従業員も大切。従業員あってのお店」と語っていた。従業員の働き一つでお客様の満足度も、お店の回転率も変わる。阿部氏は従業員の大切さを感じたという。
今後は足立市場外にも店舗を出店したいし、新しいスタイルの魚屋にもチャレンジしてみたいと意欲的だ。
今の阿部氏には4年前とは違う、経営者としての自信があるように感じられた。