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飲食店先輩経営者からのメッセージ

すでに飲食店経営者として活躍されている先輩経営者から後輩経営者に向けてのメッセージです。
これから共に飲食業界を引っ張っていく後輩経営者へたくさんのメッセージが寄せられています。

詩とパンと珈琲 Mon Coeur

「日常を過ごす人」と「文化オタク」を結ぶキッカケになればいい

高橋 宏文 氏

カフェ
平成21年11月開業 

近代美術館からほど近い閑静な立地に「詩とパンと珈琲 Mon Coeur」はある。7年目を迎える人気カフェだが、当初は当時住んでいた北区での開業を考えていた。物件が見つからなかったため円山エリアでもなく、桑園エリアでもないが「静かな場所で仕事がしたかった」という希望にあっていたことと、以前より美術館を訪れた際、近くに食事ができるところが少なく弁当を持参で芸術鑑賞していた経緯もあり、この場所に決めたそうだ。「文化オタクが集まるお店」という開業当初からのコンセプトを護りつづけている店内は、書籍や絵画をはじめ様々な作品が並んでいる。パンを目当てに来てくれる常連のお客様は「日常の食べ物」をもとめて来店する。店内には「文化オタク」の作品がズラリと並ぶ。一見交わらなそうな2つの要素が、違和感なく成立する「お店の空気」を必死で護っているという。今いるお客様一人一人を大切にし、下手に新しいことはやらないようにしているそうだ。それは、いつものお店に来てくれた「日常を過ごす人」がいつか、何かのキッカケで「文化オタク」と接点になればいいし、無理矢理ではなく自然な結びつきだから良い。WEBだけの世界でなく実際に「会うこと」「触れ合うこと」をができる、ここにしかない「お店の空気」を今日も、これからも護り続ける。

café 自休自足

食を通じて安心と喜びと学びのある、共に生きる社会を作る

南 ゆき 氏

カフェ
平成19年10月開業

板前の父親と、喫茶店を営む母親を持つ南氏にとって飲食業は常に身近なものだった。嫁いだ先もまた先代が亡くなるまで寿司屋を営んでいた。その寿司屋跡地の活用として「café 自休自足」は誕生した。準備期間もなく予算も時間も経験もない中で始めた当初は、大変な苦労がありながらも「素人だからこそ出来た」こともあったという。開業当初、今では看板メニューのひとつ「石焼ナベ」での提供は、父や夫から「意味がわからない」と言われることもあったそうだ。しかし、後々そのアイディアがメディアに取り上げられ徐々に認知されることになった。一方で開業2年目から始めた「実践・カフェ開業塾」は、今も月一回のペースで継続しており、延べ500人以上の参加者と30店舗を超える開業者が参加した。大変な取組みを続ける理由は南氏自身の経験が根源にある。開業以前に通っていた開業塾の仲間達が、なりふり構わず「自分のお店を作るように」手伝ってくれなければ開業できなかったという。「人との縁」の大切さを実感し、その「恩返し」は「助けてくれた人」だけでなく、これから「お店をつくりたい人」へ向け、南氏自身が「開業塾」を開催するに至った。人気店となった今でも「参加者との縁」を大切にしながら、「食」を通じて「安心と喜び」そして「共に学ぶ日々」をこれからも続ける。

黒花火

情熱を形にしたい!

鈴木 章夫 氏

居酒屋、もつ鍋
平成20年11月開業

アパレル業界から飲食業界へ転身と同時に独立開業をする。今や姉妹店舗含め4店舗全てが人気店となる根底には「食材」と「人」に対しての情熱であり、それをいかに伝え形にするか!の追求が最も大切だという。何もかもが順風満帆ではなかった。初めて開業したお店が5年目にしてビルそのものが消防法適用除外だったと発覚し、36席あったお店が6席となり2週間後には閉めなくてはならない事態に直面した。すでに出店していた他の2店舗へ社員を異動するが、その分の売上を確保するため、それぞれの店舗のスタッフ全員で約300件の挨拶廻りを行ったそうだ。当時を振り返ると思い出すのは「やれることは幾つかしかないが、徹底してやると結果が出た」ことだそうだ。現在はレイアウトを変更し1年半をかけ再開させた。常日頃伝えていることは「いかに情熱を形にする」ことだそうだ。食材であれば「生産者の情熱」をどう調理できるか?開業から今に至るまで「教えてもらうことが山ほどあった」「人との縁があったからこそ」と「すべての人」との縁を大切にして、出会いのその先に「情熱」がある。「お客様」「生産者」「一緒に働く仲間」すべての縁から、これからも情熱を伝え、形にする。

HIPPIES SAPPORO(ヒッピーズサッポロ)

プラスαの空間をつくる

石田 康司 氏

カフェ
平成24年1月開業

HIPPIES SAPPOROは「CAFEプラスα」の空間である。ススキノエリアから少し外れた、鴨々川沿いの閑静な場所に「ペット可」「イベント可」という多目的な利用ができるスペースとして4年目を迎える。高齢者から子供連れの家族まで訪れる人気カフェだが、社会人経験はアパレル業界から始まる。20歳から4年間、東京にてアパレル業界でデザイナーとして勤めた後、ロンドンで1年過ごした。その時「自分の未来を考える時間」に費やしアパレル業か飲食業で悩み、より具体的なイメージを持てた「飲食業界」を選んだという。ただのカフェではなく 「プラスα」の要素を付加価値として、イベントやペットと一緒に楽しめる空間を作り、徐々にお客様に認知されていった。そして最も大切にしている「プラスα」は「人=会いたくなるような魅力あるスタッフ」だという。お客様との距離が近い業態だけに、接客そのものが「お店の雰囲気」だと言い切る。今後は物販も取り入れた「複合的な空間」の提供を視野に入れた展開を行う。

松盛庵

恩返ししかない

取締役会長 松井 敦利 氏  氏

平成元年5月開業

松井氏の経歴は異色を極める。高校卒業後、千葉県で警察官として4年勤めるが、将来的に家族を見守れる環境を見据えて退職し札幌に戻る。「寿司屋」を営む叔父から「そば屋」を進められた頃、新聞広告に某名店の募集広告を見つけ就職し、そば屋としての修業が始まる。1人前になるまで10年必要といわれたが修業当初から「必ず3年で習得する」と誓っていたという。お店の許可をもらい、夜6時まで働いた後、他店舗にて無給で修業をする。その後ススキノに行き、店主やお客様から今どんな「そば」が求められているか?を、お酒を呑まず聞いて廻る毎日だったという。当初の誓い通り3年で修業を終え、地元屯田で開業する。開業時の苦労を聞くと意外な答えがかえってきた。「今振り返っても26歳の若造が、借地の上にお店を建てるなんてバカなことに融資してくれた国金に、夢をもたせてくれた方達に感謝しかない」「自分のそばに自信があるだけの人は、自分のそばの押売りになってしまう」「お客様や地域がどう思うか?が全てで、だから来てくれてありがとう、いらっしゃいませ、と言葉になる」「もう恩返ししかない」と語る。そば屋としての恩返しは、全国を飛び廻り厳選する食材選び、さらに自ら耕作して収穫もする、そうして手に入れた食材に出来る限りを尽くす。仕込みに一ヶ月以上かける「かえし」はまさに「行動力」「探究心」と「信念」があってこそだと感じた。今後も「恩返し」は飲食を通じたものだけでなく、地域の防犯や活性化など多岐に渡る。

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