母の言葉“商売は正直に”を実践
吉井 大輔 氏
バー平成25年6月
「お酒、飲めないんです」「すすきのでは“一杯どうぞ“文化があって、それも大切な売上と教わったけど、自分は無理です、ジュースでも良いと言われたけど、その分、お客様が1杯でも多く飲んで頂ければ、それが良いんです」と語る。 一番大切なのは、お客様。誕生日など自分は、そういうところに還元したい、飲食店の人たちが自分の店を閉店後、飲みに来てくれ、こちらも食べに行くこともある、そういう繋がりを大事にしたいと語る。 学校卒業後、建設会社に就職、そんな中“漠然と何かしたい”と思っていたそうだ。 いよいよ自分のお店を持つと決め、人に任せてスナックをやろうと話を進めていたが、ナント契約当日、自信がないと断られてしまった。既に店舗も契約済で支払が発生しており、止めるにもお金が発生していく、という状況。お酒は飲めないけど人と話すことは出来る、それなら自分で、と現在の「Bar Feel」の経営に踏み切ったという。 大好きな音楽を取り込み、自分の好きな店づくりのため開業5年後には6階から広さが約2倍の現在の7階へ移転し、壁面には大迫力でテレビに大好きなバンドを映している。リクエストがあれば、違う音楽も。現在は、そんな音楽好きが集まる店になっているそうだ。 メニューブックは、お店にない。お客様が自分で飲みたいものを飲める“しかけ”作りが大事だと話す。お客様が飲みたいものを自由に自分で選べる、そんな風に気軽に過ごしてほしいと語る。 お店をオープンしたい人は、お客様の中にも居てアドバイスを求められることも多いそうだ。「やってる人とやっていない人の違い、それは選択肢しかない、勇気がないとか色々なことを考えてやらない人が多い、やると決めたら、良くても悪くてもどちらにしても結果は出る。ダメなら違うことをやれば良いと、自分は決めて良かった」と話す。色々な出会いがあり、その人の気持ちや想い、考え方に触れることが出来る。それが店をやった結果。完璧なものほど脆く、不確かなものほど希望に溢れている、と語る。
大事だけれどお客様の意見に惑わされず、ぶれない
三好 真奈美 氏
居酒屋平成15年6月
会社に入社後2年目から夜学で調理師学校に通い、1年半ほどで免許を取得。8年9か月勤めた会社を退職し、準備期間を経て「サンドウィッチとサラダ シュクル」をオープン。会社時代から取引先に厨房機器や備品等、中古品の紹介を頼んでいたため、初期設備費用は抑えられたという。
しかし、スケルトンだった店舗の内装には費用が掛かった。それも今では減価償却を終え、既に回収できていると語る。
それから3年8か月後「おばんざいとお酒 シュクル」に変更した。
当時、桑園駅周辺に大型スーパーが出来、予備校や問屋街がマンションに立ち替わる中、喫茶店での経営には限界を感じたという。
元々食べ歩きが好きで京都のおばんざい屋さんへの憧れから、大皿を並べたカウンターと小上がりのお店に改装し、リニューアルオープン。
飲み放題は宴会以外はなし、一杯一杯大切に飲んでいただきたいからだ。
ある年齢になったらお店を閉めようと思っていたが、会社勤めのご主人に「これだけ長く続けていたら、お店の中でコミュニティが出来上がってる。それを自分の都合で閉めてはいけない」と言われたという。
子供の成長を見せに訪れてくれる方や転勤で戻って来て顔を出してくれた時、続けていて良かったと思うと語る。
勤めていれば休憩などもあるが自分で経営すると、それはあって無いようなもの。飲食店は肉体労働、自分は1日12時間近く立ちっぱなし。お店を始めるなら年齢は早い方が良い。
「食材を選び、調理することは楽しい、お客様と接することも含めて自分はこの仕事が大好き」だと語る。
お客様の笑顔づくりの達人を目指しています
柳谷 英治 氏
和食2015年10月
元々料理を作るのが好きで、18歳の時に、日本料理の世界に入り、大阪や京都のお店で修業し、35歳で独立。
最初は、大阪本町で10年間、和食の店を経営された後、北新地に移転。業態・店名も改め、現在3年目になるのだという。
お客様にお料理とお酒を存分に楽しんでいただく事に徹底的にこだわった結果、「おまかせ料理」「日本酒専門」「完全個室完備」「1日4組限定」「完全予約制」という、ユニークなスタイルに。ロスをなくしグレードの高いワンランク上の食材、献立を提供させていただくのがモットーだそうだ。ターゲットは、接待や記念日のお客様。
前のお店を始めた頃は、ちゃんとした料理を出していれば、お客さんは来てくれると思い、開店の時もほとんど告知をせずにオープン。その結果中々認知してもらえず、いろいろご苦労もあったのだそうだ。腹をくくって、自分の店の魅力や考え方を、料理や、サービスや、様々なツールを通して伝え続けた結果、じわじわとファンが増えて、安定してきたとの事。
今のお店は、その時の反省を踏まえ、開店からしばらくは、期間限定で、あえてランチ営業を実施。目玉として提供した「黒毛和牛のすき焼き御膳」が爆発的にヒットし、テレビや雑誌の取材も受け、短期間でお店の存在をアピールできたのだという。
おまかせ料理の店なので、看板メニューというものはありませんが、旬の食材と厳選した約40種類の日本酒との、その時期その時期の、感動のマリアージュが”売り”との事。
ここまで継続してこれた秘訣は、常に期待に応え続ける姿勢をみせることで、お客様に「信頼」していただけたから、とご主人は言う。
美味しいものを美味しく食べることで人は”笑顔”になる。お客様をみんな笑顔にすることが、ひいては世の中に貢献するのでは、とご主人は考えている。
ゆくゆくは、現在のお店をもっと成功させて新しい店を出したいとの事。
これから始められる方には、
好きなことで商売ができるのはとても幸せな事。飲食の世界が本当に好きなら、きっと成功する方法はあると思うので、希望を持って頑張ってください。
とのエールをいただいた。
会社勤務時代と重みが違う言葉“お世話になっております”そして“ありがとうございます”
金山 和裕 氏
レストラン平成27年12月
テレビ局や広告代理店の会社勤務を経て、2015年にバー&カレー「金のらくだ」を開店。会社へ入社数年後よりお客様からお金を直接いただける仕事がしたい、と思いながらも転勤、転職を続け、ついに飲食店開店を決めたと語る。小さな頃からカレーが大好きで会社勤務時代あちこち食べ歩いていたとき「カレー博士」として雑誌などメディアに呼ばれたことも。そんなカレー好きが高じて飲食店をやるなら「カレー」は必須、本当は喫茶店をやりたかったそうだが、修行もしていない素人では潰れると思ったという。 店舗を決めるのに一番困ったのは立地と家賃。希望する場所は家賃が高くライバルも多かった。すすきの36号線を南に越えると一変、途端に家賃が安くなったと語る。カレーにこだわったのはカレー好きもあるが「カレーがあれば食欲が出る」「カレーは、どんな食材でも使える」という理由。ところが場所は「すすきの」そしてカレー、ランチ客はいない上、夜に営業をするのは奥様との約束も反故することになり大反対されたようだ。それでも色々な条件を考えると場所はそこしかない、さらに管理会社が自分たちで改装するなら家賃を安くする、と。イニシャルコストよりランニングコストが安いほうが良い、と踏み切ったと語る。お蔭で内装は、自分たちの好きに出来て良かったと話し、デザイナーや根負けした奥様から女性に好かれる店作りを念押しされたようだ。 場所柄お酒をメインに、そしてカレーを出す店と決めた。原価は大切、余っても困ると、おつまみは12種程度。日持ちの良い缶詰を置いてみると“缶詰バー”とからかわれることもあるが意外と評判が良いという。喫茶店をやりたかった思いが残り、店内には漫画の単行本やファミコン、ダーツ、テレビもある、女性ひとりでも来られるようにとカウンターにも配慮をおいたそうだ。 会社勤務時代は、仕事柄、コンセプトをもっと明確に、などとお客様に伝えていたのに、自分の店は色々詰め込んだらコンセプトが無くなってしまったと笑う。 お客様は会社勤め時代の友人知人がほとんどを占め、他は学生時代の友人だという。その人たちが連れて来てくれた人が、また新たなお客様に繋がっている。お客様がたくさん来て繁盛したい反面、今の雰囲気を崩したくない、今、来てくれている人の再来店や、もう1杯飲んでくれることが多くなることが目の前の目標と語る。
腹をくくって、やぶさめのように一発勝負で絶対に的に当てる思いで開業
代表 岩間 鉄兵 氏
居酒屋平成22年開業
居酒屋の店長を5年務め、さらなるステップアップとして自分でやってみたいという思いが生まれ、7年前に独立した岩間氏。小さめでお客さんと身近に接することができる密着型のお店を裏路地でやってみたい、と開業した。
当時は、女子会ブームの時代だったが、あえて昔ながらの酒場のような料理を食べられる、ちょっとおしゃれなお店にしたいという思いで、小上がりもカウンターの椅子も手作りし、店内の装飾も流木を拾ってきて作るなど、約2か月かけて自分で手掛けたそうだ。
ここまで継続してこれた秘訣としては、高校時代からの接客経験や、東京で美容師として徹底して叩き込まれた接客技術が今に生きていることを感じている。常連のお客様が多く、お客様に支えていただいていると感謝の気持ちを忘れない。
午年生まれの岩間氏が、やぶさめのように馬に乗って走りながら一発勝負を絶対に一発で決めるという強い思いを持ってつけた店名のとおり、腹をくくって絶対に成功する、絶対に的に当てるという気持ちが経営者としては大切だと語る。
こから始められる方には、経営する以上は売り上げを作るというお金のことは大事だが、楽しんでやることこそ、結果につながることに目を向けてほしい。人生の半分以上はお店に使うのだから、その時間は自分がやりたいことをやれる、こうやったらこんなお客さんが来てくれるかな、とワクワク感をもって、楽しく考えながら、がんばってほしいとエールを贈る。