料理もサービスも普通のことを、きっちりとすること
斉藤 祐介 氏
オーガニックレストラン平成22年12月
小さな頃からヨーロッパが好きで、テレビで観たイタリアン料理などのキレイさに魅了され、知らない食材など色々と勉強をした。家で料理したことはなかったようだが東京の辻調理師専門学校へ進み、料理の世界で知らないことを知ることが楽しかったという。
卒業後はフレンチ店そして地中海料理店、その後、魚をメインとしたワンランク上の居酒屋で腕に磨きをかける。20代前半の頃、漠然とだが自分の店を持ちたいと思っていたようだ。
結婚を機に札幌へ。未来のお子様のことや将来のことを考え、自分の故郷・静岡市とどちらか迷ったようだが人口も多い札幌に決めた。
来札2か月で希望をクリアする良い物件に巡り合い、3か月後には「ナチュラル ワイン テーブル Organic +(オーガニックプラス)」をオープンさせる。
オーガニックにこだわったのは、東京にいた頃オーガニックのワインを飲んだ翌日は頭が痛くならないことに興味を覚え、勉強をしていたこと。また奥様の体が弱く食事改善をすることで体質改善できること、オーガニックは知れば知るほど奥が深い。ワインはもちろんジュースやパスタ、醤油、味噌、酢などオーガニック製品を使っている。ヴィーガンやマクロビオティック対応のお料理とスイーツも用意している。そのため他よりも材料費がかさみ、無駄だと思うことや節約できる経費を出来る限り抑えている。
当時は珍しかったオーガニックということで雑誌関係に取り上げて頂いた、そしてオーガニックに関心が高いお客様も多かったようだ。今はリピーターのお客様はもちろん、観光客も増えており、海外のベジタリアンのかたや本州からの野菜好きなかたが多いという。
オープン当初は、経営ということを分からず山あり谷ありで「続ける」ことの難しさを知った。この店を長く続けることが今の目標。将来は少し改装してパンやお菓子などの販売や軽食を楽しんでいただくことも見据えている。
お客様に対し、常に正直に!
岡本 佳久 氏
居酒屋1998年7月
若い頃から料理人として長年やってきたが、ある時、働いていたお店が閉める事になり、それをきっかけに自分でお店を持つことになったのだという。
お店の売りは“魚料理”。なかでも刺身が特に人気。市場には自ら毎日足を運び、吟味し、納得したものだけを仕入れている。
スタートはまずまずだったが、2002年の道交法改正の影響は大きかった。遠方から来てくださっていた常連さんが離れてしまった。その後は地道に、地元のお客様を増やしていったのだという。
これまで続けてこられたのは、儲け第一に走らなかった事ではないか。と、ご主人。商売なので、利益を出すことはもちろん大事だが、まずはお客様を満足させる事が大切との事。
大事にしているのは、お客様に対して正直になる事。天候など、その日によって魚の良し悪しは当然ある。ウチは基本は天然物だけをつかうが、どうしてもいいものが手に入らなくて、養殖を使う日もある。そういった事をお客様にきちんと伝えてからお出しするようにしている。
これから始められる方へ、
お客様に決して嘘をつかない事。前述のネタの良し悪しの話ではないが、何年もやっていると、その場しのぎの言い訳や、ごまかしをしてしまいがちな時もあったりする。しかし、そういうのは結局、お客様はお見通しだと思うので、誠実に真摯に対応する気持ちを常に持ち続けて欲しい。と、エールを贈る。
すべてのお客様に笑顔でお帰りいただく事を心掛けています。
一丁田 誠 氏
和食2012年5月
子供時代は、小さい頃から晩御飯当番。毎日家族に作っているうちに、だんだん料理が好きになっていったそうだ。
その後中学・高校とスポーツに打ち込み、就職後は実業団で活躍。社会人で約2年間はスポーツ漬けの毎日。しかし、将来を考えた時に、スポーツと同じくらい好きな料理の道に進もうと決意。会社を辞めて調理師学校に通い、その後大阪で10年ほど修行をしたのだそうだ。それからは親の体調のこともあり、地元に近い名古屋の飲食店で5年ほど勤めたのちに開業したとの事。
「和食をもっと身近に!」がコンセプト。世界では注目され評価されている和食だが日本の特に若い人には敷居が高かったり、魚嫌いの方が多かったり、と、和食をあまり身近に感じてもらえていないのが現状。自分が長年やってきた和食をもっと身近に感じてもらおう、なんとかしようという思いから始めたお店との事。
おかげさまでオープンから比較的順調に来ている。とご主人。駅近立地なので駅前でのチラシ配布や、近隣への新聞折込チラシも実施。オープン時はランチだけをアピールし、まずランチを満席にすることを目標にしたのだという。
人気のメニューは「野菜の炊き合わせ」。大阪時代の修行の味をそのまま再現したメニューが非常に人気だそうだ。
これまで継続してこられたのは、常に話題性を考えてきたからではないか。とご主人。お店を利用していただく理由を明確に「◯◯ならあのお店」と言われるようなサービスやメニュー開発をしてきたとの事。例えば、月に1回、8組様限定の 特別会席の会は、お一人1万円のコースだが、年間の予約がすぐ埋まってしまう人気ぶり。常にキャンセル待ちの状態。これも話題作りになっているのだという。
大事にしていることは、お客様にいかに笑顔で帰っていただくか。そうでなければ、次はないとのお考えだ。
今後は近くで、カレーうどんの店をやりたいそうだ。ウチの店で飲んで、〆で行って欲しいお店をつくりたいとの事。
これから始められる方へ、
自分も目指している最中だが、ディズニーランドのような、夢のある楽しいお店を目指して欲しい。と、エールを贈る。
本物の美味しさを、お客様の召し上がりたいように。
塚田朗雅 氏
寿司1910年
実家が代々寿司屋だったが、自分自身は継ぐ気はなく、親からも特に言われなかったので、大学卒業後は、当時興味があった、コンピューター関係の仕事に就いた。数年間務めたが、父親の体調不良をきっかけに、実家の寿司屋を継ぐことを決意したのだという。
それまで調理の経験はなかったので、まずは1年間調理師学校に通って基本を学び。その後、お店で修業。20代後半からの修業なので、10代から修業している他の職人さんに追いつくには、人の何倍も色々やることがあり、大変だったそうだ。しかし、言われて継いだのなら、挫折していたかもしれないが、自分で決めた事なので続けられたのだと思う。とご主人。
お店のコンセプトは寿司屋らしい寿司屋。本来の寿司屋を貫くという事。最近増えている創作ものや、最後にちょっとだけ寿司がでるようなコースではなく、その日のネタや、その時期の旬を楽しんでいただくスタイルなのだという。
お店を継いで一番大変だったのは、先代との比較をずっとされる事。常にプレッシャーがあった。父親が店に出なくなってから13-4年になるが、ようやく話が出なくなったとの事。
ネタについては、その日、仕入れうる最高のもの、納得できるものを買うようにしている。市場でいいものが手に入らないものについては、市場に入る前におさえるようにしている。その分コストはかかるが、お客様にいいものをお出しするには、そこで絶対妥協しないのだそうだ。
これまで継続してこられたのは、お客様との付き合い方ではないか、とご主人。お客様は大切な存在だが、神様ではないと考えている、お互いに愛情があるかどうかだと思っているとのお考えだ。『こっちは客なんだからなんでも言う事を聞け!』みたいな方にはなるべくご遠慮いただいているそうだ。
大事にしていることは、お客様の情報をしっかりキャッチして次に活かす事。
カウンターがメインのお店なので、たくさん情報が入ってくる。さっぱりしたものが好きなのか、こってりしたものが好きか、お酒の好み等々、注文された内容や、会話の端々から、その方の嗜好が情報として入ってくる。その情報をできるだけ次に活かす事を心掛けているのだという。
これから始められる方へ、
・気を付けて欲しい事
毎日同じ料理を作っていると、自分が物足りなく感じて、味を変えようとしがち。どんどん複雑になって最初の味がわからなくなってしまう。物足りなければ、その料理にそれ以上手を加えるのではなく、違うメニューを作る事。修業の少ない人ほど陥りやすい料理人の罠。
また、スタッフにミスがあった時、お客様の前で絶対に怒ったりしない事。あれは、責任転嫁。お客様は非常にいやな気持ちになる。まずは自分がお客様に詫びて、スタッフへの注意はお店が終わってから行うべき。
・目指してほしい事
お客様、取引先、スタッフなど、周りのすべての人への思いやりを持ってほしい。
また、後味のいいお店、いつまでもそこにいたいと思える居心地のいいお店を目指してほしい。と、エールを贈る。
心是道。お客様の歓びを常に追求しています。
篠田 仁志 氏
つけ麺・ラーメン2013年7月
大学卒業後、総合スーパーに5年勤務。その後、前からの夢であった俳優業を目指し、東京へ。11年間俳優業をしていた。5年の下積みの後、6年目からやっと食べていけるようになったのだそうだ。しかし、父親が倒れ、地元の岐阜に戻り、もう一つの夢であったラーメン店を地元で開業する事を決意。修業を兼ね、東京でラーメン店のアルバイトを掛け持ちで3年程経験。この頃は東京と岐阜を何度も往復したのだという。
東京のラーメン店で働いて感じたのは、ライバル同士であってもお互いのやり方を公開しあい、情報を共有したり、いいと思うものはコラボしたり、といったつながりがあるのだという事。素晴らしいと思ったそうだ。
地元に帰って来て、ラーメン店同士があまりつながってないのが意外だった。客の奪い合いではなく、地域のラーメン店を回遊してくれればいい、競争ではなく”共創”
とのお考えだ。
お店は、オープンから3か月ほど行列が続いた。友人・知人から広げていった、事前の口コミなどが功を奏したのだという。その後も波はあるが、おかげさまで堅調に推移しているとの事だ。
看板メニューは、特製つけ麺。個人店に来てくださるお客様は、価格第一ではない。その店ならではのもの、そこでしか味わえないものを楽しみに、食べに来てくださっている。価格を意識しすぎると、十分な満足をお届けできないという。
これまで、継続してこられたのは、お客様が、どうしたら喜んでいただけるかを常に考えているからだと思う。とご主人。損して得取れじゃないが、まずお客様を喜ばせるのが先で、ワクワクドキドキがないとお客様には支持されない。結果儲からないのだという。
あと、情報発信もマメにする事が大切。ハガキDM、メルマガを定期的に出している。
飲食店は忘れられるもの。まず覚えておいていただく、思い出していただく事が大事。
さらに、スタッフには感謝している。そして妻にも大感謝。一人では何もできないとつくづく思う。周りには感謝しかない。もちろん、ウチの店を支持してくださっているお客様に心から感謝。と、ご主人は語る。
大切にしているのは「心是道」心がなければ何も始まらないのだという。
今後の展開について、
・日本一のつけ麺屋を目指す
・海外出店
・東京進出
この3つは周りに常に発信している。準備ができてからでは遅いと思う。早くから発信していくことでチャンスも広がると思うし、スタッフにも夢を持ってもらえるとのお考えだ。
これから始められる方へ、
大事なのはまず、あいさつをきちんとする事。時間を守る事。
また、お店を始める前は自分の事ばかりになりがちだが、そこであえて周りに目を向ける。一呼吸おいてみると違ってくるのだそうだ。そして、周りのお店と力を合わせ、地域を巻き込んでいく事が重要。と、エールを贈る。