大阪では一般的なB級大衆食があまりない自分の知らない所で一から挑戦したい
森崎大祐 氏
居酒屋平成22年開業
祖父が天ぷら店を営んでいたことから、身近にいつも飲食店があった。“いつか何かを成し得たい”といつも志を持ち続け東京・大阪の飲食店で働いて経験を積んだ。2010年に「串カツ」を開業。北海道を最初の地に選んだのは、「北海道=食のイメージ」であることと「雪が多い特殊な地域」、「大阪では一般的なB級大衆食があまりない地域」、「自分の知らない所で一から挑戦したい」との理由からだそうだ。お店のコンセプトは“隠れ家的・駅から少し離れている場所で仕事帰りに立ち寄ってもらえる他店にはないものが食べられるお店”で、毎日ではないが月に1回は来てもらえるような仕組みづくりを重視し、店構えにも力を注いだ。開業当初は目標通り順調にお客様の支持を増やしていったが雪が降ると同時に客足が激減するも、元祖「みやがみ屋」さん直伝カレー鍋がメディアの注目を集め軌道にのった。不特定多数の人に触れる公な職種である飲食業は、お店自身が来て欲しい方に来てもらえるような姿勢が大事だと考えている。今後は、志を高く持ち、人材育成・飲食業界の活性化にも積極的に行動し、大阪の方々にも本物の北海道産品の良さを伝えていく。
1ケ月に一度来ていただくお店ではなく、1週間に1度は来ていただけるお店作り
西澤一暢 氏
居酒屋2012年5月
16歳から料理の道に入った時から「いつか自分のお店を持ちたい」と漠然とした夢を持っていた。札幌の飲食店で修業を積んでいた時、ご縁をいただいた周りの方々に背中を押され、開業の決意を固めたそうだ。おかげさまで、その方々に事業計画書の書き方、開業資金の融資の受け方や、金融機関との付き合い方等いろいろな事を教えてもらったそうだ。働きながら物件を探し始めて半年後、理想の居抜き物件が見つかり、そこから急ピッチで準備し遂に念願の自分のお店“ひこま豚とまごころ料理 澤 ”を開業した。何せ経営者1年生で開業時は売上が安定しない中での資金繰りに苦労したこともあったが、その後は徐々にお客様も増え軌道に乗せることが出来たそうだ。お店のコンセプトは“1ケ月に一度来ていただくお店ではなく、1週間に1度は来ていただけるお店作り”として、メイン食材には自ら惚れ込んだSPFポーク「ひこま豚」(北海道南部産)を使用し、さらに常連さんを飽きさせないように旬の素材も取り揃えた幅広いメニューに構成し、食材とのマリアージュを提案していくためにワインソムリエと共に季節に合った料理とお酒を提供している、との事。経営者として大事にしていることは3つ、一つはもちろん数字。もう一つは「お客様との対話」で会話の中からそのお客様の要望を知り、出来る限りお応えするように心がけ、メニューにないものでもリクエストがあれば作って差し上げているのだそうだ。もう一つは「スタッフとの対話」、“飲食店は多くの人の支えがあって初めて出来るもの”との考えから、スタッフとよく相談しながらより良い店づくりを目指しているそうだ。今後も謙虚な姿勢でスタッフとよく話し合いながら新たなチャレンジへ模索を続けている。
3割のお客様に、長く愛されるお店を目指してます。
氏原 茜氏 氏
おばんざい・割烹2013年10月
学校を出てから、フリーターとして様々な飲食店に勤めていたが、このままではよくないと思い。それまでのお店を辞めて、一般企業に就職。半年ほど勤めてみたが、どうも肌に合わないと感じ、飲食店がやはり好きだとつくづく実感し、以前お世話になったお店のオーナーの勧めもあって、今のお店を立ち上げたのだそうだ。
週に何度も通える、気軽なお店だけど、素材も調理もちゃんとした料理を提供するお店。毎日食べても美味しい家庭料理がテーマ。実際、週に3-4回通ってくださっている常連さんも少なくないとの事。
開業時、売り上げは何とか順調だったそうだが、苦労したのはスタッフ。集めるのがまず大変だったし、なかなか定着しない。ずっと悩んでいるという。
手作りのおばんざいが人気だが、中でも「牛すじの煮込み」はとても好評で、今では定番メニューになっている。
これまで続けてこられたのは、お客様のおかげ。本当にいいお客様ばかりが集まってくださっている。ご自身も、10人のうち7人に嫌われてもいいから、3人がずっと好きでいてくれるお店になりたいというお考えだ。それができるのが、小さなお店の強みでもある。結果いいお客様ばかりのお店になったのだという。
大事にしている事は、とにかく自分を曲げない事。ブレない事。
今後は、何店舗も広げていく考えはなく、長く続くお店にしていきたい。とのお考えだ
これから始められる方へ、
個人事業でも家族だけで経営しているお店でも、お店のお金の出入りとプライベートなお金の出入りをごっちゃにしない。きっちり公私を分ける事が大事。とのアドバイスをいただく。
揚げたて天ぷらと飛騨の味で、お客様を笑顔に!
谷垣内 康彦 氏
天ぷら2000年5月
大学卒業後、名古屋でアパレル関係の会社に就職し、7年近く勤務。しかし、元々30歳ぐらいまでに独立して自分で事業をやろうと決めていたのだそうだ。
何をやろうかといろいろ考えた時、学生時代の自炊などをきっかけに、料理を作る事が大好きになったので、好きを仕事にしてみよう、と飲食店をやることに。
昼間は仕事をしながら、夜間の調理師学校に通って免許を取得。その時の日本料理の先生のご縁で、名古屋のある料亭で修業をすることになった。
他の見習いの人より10歳ぐらい遅いスタートだったので、当時は人の何倍も色々なことをやった。懐石とお座敷天ぷらが人気の料亭で、特に天ぷらの方は対面型のスタイルなので、料理の腕前だけでなく、お客様と会話ができる事が必要だったそうだ。おかげで、営業職で培ったコミュニケーション力が認められ、比較的早くから任されるようになったという。歴史のあるお店だが、やる気があればどんどん任せてくれる方針だった事に感謝しているとの事。その後、洋食なども経験し、5年ほどの修業をしたのちに開業。
比較的順調にスタートできたのは、オープン当初から来てくださったお客様の口コミのおかげだという。じわじわ常連さんも増え、お店も知られていった。
名古屋は高級店はあるけれど、気軽に天ぷらが食べられるお店が意外に少ないので、気軽に、肩肘張らず天ぷらが食べられるお店をめざしたのだそうだ。また。ご主人の地元、飛騨地方の野菜や山菜、郷土料理や地酒を天ぷらと共に提供し、飛騨の味を名古屋で広めたいというお考えだ。
人気メニューはもちろん天ぷらだが、ちょっと変わったところでは、デザートとして提供している「しるこサンド」という愛知のビスケット菓子の天ぷらが、隠れた人気メニューだそうだ。ご主人が子供時代に食べた、お菓子やまんじゅうを天ぷらにしたおやつがとてもおいしかったので、ある時お店でもサービスで出したところ、非常に好評でその後は定番メニューになったのだという。
これまで続けてこられたのは、地道にまじめにやってきたことだと思う。と、ご主人。ひと手間加えたり、プラスアルファの工夫をしたり、というお店もあるが、ウチは、オーソドックスな天ぷらを提供する事を心掛けているとの事。
大事にしている事は、お客様の「笑顔」。お店で色々飲み食べしていただく事も嬉しいが、一番はお客様が笑顔になっていただく事。特に、帰りがけにお客様が笑顔で声をかけてくださるのが最高の喜びなのだという。
今後、お店を増やそうとは考えていないが、できれば、将来海外に移住して、そこでお店をやってみたいと思う。とのお考えだ。
これから始められる方へ、
飲食店経営はやりがいのある仕事だが、本当に好きじゃないと続けられない仕事だと思う。そこをきちんと自分に問いかけて欲しい。それでもやりたいと思える方は、ぜひチャレンジしてほしい。と。エールを贈る。
良き先輩たちに恵まれた感謝の気持ち
中山 祐樹 氏
小料理平成16年9月
祖父母が営んでいたラーメン屋。夏休みなどで遊びに行くと、その仕事ぶりを見ていたからか「料理」を身近に感じ、いつの間にか料理人の世界へ、と思っていた。学生時代の先輩が働く和食店で働き始めたのも、漠然とだが学生時代から調理人という話をしていたことがきっかけだったそうだ。
次に働いた店でも、先輩たちに恵まれたと語る。独立を考え始めたのも、この頃だ。カウンターでの仕事は、お客様に顔を覚えてもらえるところ、そして色々なお客様と知り合える場所、そんなことも教わった。そして、その店で働いた後、独立し店を出したという方と出会う。自分で店を切り盛りしていること、仕事が出来るひと、そんな憧れを抱いていた。数年後にその店で働いたのは、そんな縁からかもしれない。そこで改めて「料理」を教わったという。
その店に来ていたお客様から「飲食店を立ち上げたいから手伝ってほしい」と話が舞い込む。飲食店をゼロから立ち上げられたのも「いつか自分の店を持ちたい」と飲食店のノウハウを教わっていたからこそ出来たこと、と話す。
そして、いよいよ自分の店を持とうと思った頃、店を移転するという先輩から現在の店の物件話がきた。何かをやりたい、という色々なタイミングが合う時にやるのがベスト、だらだらとしていると気がそがれてしまう。丁度良いタイミングだと思ったそうだ。
内装から壁、床、厨房と改装したようだが「やりたい」希望を全部入れたら見積金額が予算を大幅に超える金額に。ただ、それも「やりたい」希望の金額を知ることが出来て良かったようだ。
料理へのこだわりは全て手作り、ということに表れる。お通しやしめ鯖、おでんのがんも や夜に麺や汁物のリクエストをされることも多くスープ風のカレーも用意。それも手作りだそうだ。
飲食店も機械化が進み、冷食なども出回り、スイッチひとつで何でも出来る時代。個人の良いお店が少なくなっていく。気持ちよく、美味しいものを食べてほしい、手作りの味を食べてほしい。他の店に行くこともあると思うが、久しぶりに気が向いて自分の店に来てくれた時「いつもの“小料理 なごみ。”だな」と安心して寛いでもらえれば嬉しいと語る。